予備自衛官のばあい、規則と運用が一致していないことが、ときどきある。おそらく立法者の意思としては、可能な限り予備自衛官の能力を活用しようというこ とで、いろんな規則を整備してきたのだろうが、現場の運用は、そうなっていない。予備自衛官制度の不備について改善提案する場合、地本経由のほかに、直接人事計画局に連絡できるような仕組みを作ってくれるといいのだが、どうだろうか。
ところで、この夏で予備自衛官の任期満了なので、継続任用志願票が郵送されてきた。
志願票には、指定職種と「特技」(いわゆる「MOS」)の欄がある。私の現在の特技は通信科の上級有線整備(ようするに、電話工事)。この2~3年のあいだに、情報セキュリティなどいった情報処理の国家資格も、予備自衛官の「上級電計処理」の特技の対象となるように規則が改められている。もともと情報処理の専門家なので(民間企業在籍時には防衛庁の仕事もやりました)、MOSを電計処理に変更できると嬉しい。
そこで、自衛隊の訓令通達をくまなく調べてみた。
予備自衛官の場合、職種の変更については、規則が整備されていないので、おそらく無理そう。しかし、同じ職種内で、違うMOSの指定については、できることがわかった(予備自衛官の任免等細部取扱いに関する達(昭和46 年陸上自衛隊達第21―9号)18条3項)。
予備自衛官採用後現に指定されている特技(第1項ただし書の規定により特技を指定されていない場合を含む。)以外の資格要件を保有するに至った場合には、准陸尉、陸曹及び陸士の予備自衛官にあっては担当地方協力本部長が、幹部の予備自衛官にあっては陸上幕僚長が、該当する特技を指定するものとする。
条文には、「予備自衛官採用後現に指定されている特技…以外の資格要件を保有するに至った場合には、…該当する特技を指定するものとする」とある。法令用語の「するものとする」というのは、「しなさい」という命令を意味する言葉なので、予備自衛官が資格要件を保有しているのであれば、担当地方協力本部長などは、該当する特技の指定を行わなければならないというふうに解釈できる。つまり、自分の場合は、上級電計処理のMOSが指定されるのに、なんら障害がないはず。
そこで、地方協力本部の予備自衛官任用の担当者に電話してみた。
ところが、「できない」ということだった。理由を尋ねたら、「規則が整備されていないので、そういう運用はできない。」ということだった。「18条3項がある」と言っても、「無理です」といわれた。つまり、18条3項は、無効だということだろうか?
さらに、「予備自衛官の場合、特技の指定は関係ない。実際に招集されたときに、部隊に対して自分で特技を申告すればよい。」とのことだった。でも、この答えは間違いだろう。予備自衛官の配置は計画的に行われるので、一旦招集されて着隊してから別の部隊の任務につけるとは考えにくい。しかも、MOSの指定なしにMOSが必要な仕事ができるのは、特別な場合に限られている(陸上自衛隊の編成に関する訓令2条5号、陸上自衛官の特技に関する達4条)。
ちなみに、予備自衛官が「各幕僚長の定める高度の技術及び知識を習得」した場合、1階級昇進させてもいいことになっている(予備自衛官の任免、服務、服装等に関する訓令10条2項)。採用後のMOSの指定すらできないのだから、おそらく、実際に昇進させた事例などないのだろう。