Archive for the '刑事法' Category

無線趣味と鉄道趣味が合体した極めてマニアックな集団による犯行

[ 한글 中文 english ] [2010/07/15 (木)の記事一覧]

こんな裁判例がありました。(東京地裁八王子支部平成9年7月4日判決、判タ969-278)

窃盗・業務妨害・電波法違反被告事件なのですが、盗んだ鉄道無線機(防護無線通信装置)を自動車で持ち運んで、繰り返し電車を停止さて喜んでいたという無線&鉄道マニアの事件です。

数名の共犯のうち1人の分離公判です。被告と共犯者は、「無線の趣味を通じて知り合った仲間であり、判示第一のタクシー協同組合に無線担当として○及び○に次いで、同人らの誘いもあって、同組合に就職した」というのですから、よほどの無線好きです。

判決理由中の犯罪事実には、つぎのように書いてあります。

第二 別紙一覧表記載のとおり、前記〇〇らと共謀の上、窃取に係り、携帯用に改造した防護無線通信装置から電波を発射して、東日本旅客鉄道株式会社(代表取締役松田昌士)の旅客鉄道業務を妨害しようと企て、郵政大臣の免許をうけず、かつ、法定の除外理由がないのに、平成八 年四月八日午後五時一九分ころから同年五月三日午後一〇時三八分ころまでの間、前後二回にわたり、千葉県船橋市海神町二丁目六四六番地付近から同県市川市 平田四丁目一番一三号付近に至るまでの道路上を走行する普通乗用自動車内等において、前記の携帯用に改造した防護無線通信装置を携帯して周波数三七三・二 七三六メガヘルツの電波を多数回発射し、同県船橋市西船四丁目二七番七号所在の右東日本旅客鉄道株式会社西船橋駅構内ほか一三か所において、運行中の同社 が運行管理する電車延べ二一列車に各設置してある防護無線通信装置に同電波を受信させ、右二一列車を緊急停止させ、又は、発車を見合わせるなどさせてその 運行を遅延させ、もってそれぞれ偽計を用いて右東日本旅客鉄道株式会社の業務を妨害するとともに、無線局を開設して運用したものである。

で、裁判官は、量刑事情として、こんなことを言っているのです。

「無線趣味と鉄道趣味が合体した極めてマニアックな集団による犯行」

…。無線趣味と鉄道趣味の合体って、自分の身の回りだと、ごく普通にあるけれど。たしかにマニアックだけれど、「極めて」というほどでもないような。

ちなみに、この判決には、罪数関係に間違いがあるように思える。

判決文の「法令の適用」の中で、「電波法違反の点は、各無線局開設及び各運用につき包括して」とある。無線局の開設が「平成八年四月八日午後五時一九分ころから同年五月三日午後一〇時三八分ころまでの間、前後二回」あったと認定しているのだが、はたしてそうだろうか。

この事件では、「携帯用に改造した防護無線通信装置」を使用しているので、いわゆるポータブル(可搬型ないし携帯型)の無線機を使った移動局にあたる。そして本件では、同じ無線設備を、おおよそ1ヶ月以内に、移動中または駐車中の自動車から運用している。

このようなポータブルの無線機を使用する移動局の場合は、一旦無線局を廃止(たとえば無線機を使えない状態にするなど)しない限りは、開設の行為は1回とみるのが自然だ。現行の電波法4条には、「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」とあるけれど、たとえば、携帯用のトランシーバーを車に持ち込むような場合は、「開設」にはあたらないというのが、行政実例だと思う。(だからこそ、移動局には「常置場所」という概念が存在する。)

無線局の開設とは、無線設備を設置し、それを操作する者が電波を発射できる状態にすることをいうのであるから、本件のような移動する無線局の場合は、無線機を改造して、いつでも電波を飛ばせる状態になったあとに、これを運用しようという意思が生じた時点が、無線局の開設なのではないだろうか。本件の場合、すくなくても、第1回目の電波発射よりも前に1度、無線局の開設があったと認定することができるけれど、開設行為が2回あったと認定するのは、判決文から想像するに、無理だと思う。

不法入国に行政書士関与

[ 한글 中文 english ] [2009/11/27 (金)の記事一覧]

けふの産経新聞に「密入国に行政書士関与? 在留資格で不適切処理…警視庁立件へ」といふ記事があつた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091127/crm0911270146001-n1.htm

中国人の在留資格申請に絡み不適切な帳簿処理を行ったとして、警視庁は東京都内の男性行政書士(57)を行政書士法違反の疑いで、書類送検する方針を固めた。…偽装結婚や不法就労に絡む違法な“裏ビジネス”に行政書士の関与が疑われるケースは相次いでおり、警察当局は摘発を進める方針。

またもや行政書士が不法入国に関与していたわけだ。先月は、読売新聞でも類似の記事が掲載されて、行政書士会が懸命に弁明していた。こういう事案が過去何度となく繰りかえされる度に、行政書士会が「研修」の充実や監督を強化するなどと言い訳してきたが、結局のところ、行政書士会には、会員を管理監督する能力がないだろう。

そして記事は、つぎのように続く。 (続きを読む…)

平成21年度 (2009年) 自衛隊観艦式に行って来た

[ 한글 中文 english ] [2009/10/25 (日)の記事一覧]

113-170観艦式の本番で、さざなみに乗艦した。

ほんとうは子供と一緒に行きたかったのだけれど、乗艦券が1枚しか手に入らなかった…と、少し残念だったのだが、結局当日の朝、子どもが高熱を出して、一人で行くことになった。結果オーライ。

10日前のブログに書いた通り、子供の乗艦と追加の乗艦券について海上幕僚監部に問い合わせをしたのだけれど、全く返事なしだった。

ところで、今回の観艦式の写真や装備のネタについては、軍ヲタのみなさんに譲るとして、このブログでは、護衛艦にまつわる、小ネタを披露することとしたい。 (続きを読む…)

池田・前田刑訴は、自衛隊員に読まれていないのだろうか?

[ 한글 中文 english ] [2009/03/09 (月)の記事一覧]

池田・前田の「刑事訴訟法講義」、もうすぐ3版がでる予定。でも、初版、2版ともに自衛隊に関する記述が間違っていた。いまさらだけど、東京大学出版会に訂正の申し入れをした。

これだけ放置されていたんだから、きっと、自衛隊員には読まれていなかったのだろう。

もうじき池田・前田「刑事訴訟法講義」3版がでるそうで、たいへんたのしみにしています。ところで、同書の初版、2版ともに、特別司法警察職員の記述に誤りがありました。(初版では31ページ)ひょっとして、3版で訂正されていないかもしれないのですが、念のためお知らせする次第です。すでに対処済みでしたら、たいへん申し訳ありません。

「特別司法警察職員(法190条) 司法警察職員は、・・・」のあと、「自衛隊刑務官(自衛隊法)等である。」とありますが、正しくは、「自衛隊の警務官」の誤りです。

矯正職員ではなく、軍事警察(Military Police)の業務を行う職員ですので、「刑務官」ではなく、「警務官」といいます。なお、自衛隊の司法警察職員(自衛隊法96条1項)にも、司法警察員と司法巡査の区別があり(自衛隊法96条2項)、前者を警務官、後者を警務官補といいます(同法施行令109条1項)。ところで、「自衛隊警務官」という官職はありません。自衛隊の令規では、単に「警務官」というか、あるいは「自衛隊の警務官」ということはあります。(これは、警察法56条1項に規定する「地方警務官」と区別するためです。)しかし、「自衛隊警務官」とはいいませんので、「自衛隊の警務官・警務官補」というのが適切かと考えます。

以上、念のためお知らせします。

岐阜県山県市 選挙公営詐欺事件 検察審査会が「不起訴不当」の決議

[ 한글 中文 english ] [2008/06/17 (火)の記事一覧]

さっき気がついたのだが、この blog で何度か取り上げている、岐阜県山県市の選挙公営制度を悪用した1項詐欺事件の続報。とうとう出ました、「不起訴不当」。

ざっくりとおさらいすると、
捜査の端緒は市民の告発。
県警が捜査開始。
検察に事件が送致される。
一部の被疑者が、議員を辞職
うち12名が起訴猶予。(岐阜地検2007年12月20日)。
このうち、当選したのは7名だが、この間5名が辞職。

そこで、議員に居座る2人について、告発人がことし1月に検察審査会あてに審査申立てをしたところ(岐阜地検平成19年検第100142号,同100144号)、6月13日に議決があり、16日付で申立人あてに議決要旨の通知がされたらしい。

実は、告発状と不服申立書の前半(犯罪事実の記載)は、私が起案した。検察の捜査と思考がどのように反映されているのか知りたくて、議決要旨と告発状、不服申立書を比較してみた。いつ、どこで、だれが、という事実関係が捜査ではっきりと埋められているほかは、情状をふくめて、私が最初に起案した内容と、たいして変わらなかった。(ちょっと自慢)

でも、実は、この事件には、さらに大きな問題がある。実は、検察が「嫌疑不十分」と判断した者が別に2名もいるのだ。そのうち1人は、候補者、政党、印刷業者、それをつなぐ「支持組織」の巧妙な連携があって、物証がつかめなかったし、他の12名の事件と違って、だれも口を割らなかった。ものすごい連帯感というか、警察もかなりビビっていたように思う。(何されるかわからないので、このくらいにしておきます。)


無料アクセス解析