NHK集団訴訟 (いわゆる「アジアの一等国」事件)

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原告8,389名だって。すごいなあ。たしかに、「アジアの一等国」の内容は、疑問満載というところがあって、だいぶ期待はずれだったが、訴訟で解決すべき問題ではないように思える。

ところで、「台湾の声」によると、

「NHKスペシャル シリーズ『JAPANデビュー』 第1回『アジアの“一等国”』」をはじめ、番組製作・放送において著しい偏向報道や歪曲、捏造、印象操作等を行いながら、国民からの抗議や批判にも不誠実な対応を改めようとしないNHK に対し、公共放送としてあるまじき道義的責任を問うべく、集団訴訟を提起いたしました。

ということらしい。

で、さっそく訴状を読んでみたが、よくわからん。とくに放送法ないし受信契約上NHKが原告らに負っている責任について論じている「第4」の部分が不明確に思える。

第4 原告と被告との関係(受信契約)及び受信契約の内容
1 放送法第32条第1項には次の規定がある。
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。(以下略)
2 原告らは上記規定により被告と受信契約を締結している者及び締結を強制されている者である。
3 受信契約により、原告らが受信する放送は、放送法に適合したものでなければならない。いいかえると、被告が放送法に適合しない番組を放送した場合には、原告らは被告に対し、契約違反として、または不法行為として損害賠償を請求することができる。

特に、第3項は、論理の飛躍があるように思う。

NHKの行為が放送法に適合していることが求められるのは当然だけれど、放送法の規定は、電波法規ないし行政法としての性格、つまり国や公共一般に対して負う義務と、契約法規として受信契約者に負う義務に二分されるのだと思う。放送法3条の2第1項は、前者に向けられた義務だと考えるが、なぜそれが契約義務の不履行につながるのかという説明が、原告の主張から丸ごと欠落している。ここの部分の説明を厚くしないと請求が立たないように思える。つまり、放送法3条の2第1項の遵守(訴状で言う「本件義務」)が、受信契約の内容になっているかということが、ひとつの争点といえるかと。

んでもって、損害の内容だけれど、これもちょっと難しそう。特に、受信契約を締結していない者に対する慰謝料。

第8 原告らの損害
1 原告らは、被告と受信契約を締結させられているが、原告らが契約締結に応じたのは、被告が本件義務を果した番組を放送することを期待したからである。
2 被告はその期待に反したばかりか、逆に本件義務に反した番組を反していないと居直っている。被告が原告らの期待に反した本件番組を放送したことにより、原告らが受けた精神的損害は、各自1万円を下らない。
3 また、受信契約を締結していない原告らは、本件義務に反した番組を放送する被告との受信契約を強制されるのではないかという精神的不安をかかえている。その不安についての慰謝料は各自1万円を下らない。

ここで「本件義務を果した番組を放送することを期待」という言葉がでてくるが、仮に、放送法3条の2第1項の遵守が受信契約の内容になっているとしたら、まあ、なんらかの契約違反の効果としての損害賠償請求がありうるだろう。しかし、受信契約をしてない者の「受信契約を強制されるのではないかという精神的不安」についてまで、NHKが責任を負うというのは、無理な話だ。

なぜならば、すべての「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(放送法32条)のであって、NHKがどんな番組を放送をしようが、契約を迫られる「不安」に変わりはないのではないように思える。契約を強制される不安があるとしても、それは放送法による義務なのだから、NHKに転嫁されうる問題ではないように思うが。放送の前後でどれだけ不安が増幅されて、それがどれだけの金銭的価値にみあうのか、ちゃんと説明しないと、慰謝料請求は無理だろう。

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