電子公証の電子署名(行政書士用電子証明書だけ?)

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行政書士会の説明によると、行政書士が電子定款を作成する場合、行政書士用電子証明書(日本商工会議所のビジネス認証サービスタイプ1-G)だけしか使えない、のだそうだ。そんなの間違いだろ。行政書士が代理人として公証の嘱託をする場合、定款の電子署名は、公的個人認証でOKだと思う。専用の証明書が存在しない弁護士だって、公的個人認証を使って電子定款に署名しているし。

行政書士会の説明では、こうなっている。(http://www.gyosei.or.jp/image/gaiyouhen070320/gaiyouhen070320.pdf)

ここでは、行政書士用電子証明書の意義について再確認してみましょう。
[...]
電子定款作成代理でも、代理人行政書士が電子署名することで同じく電磁的記録物たる定款が成立しているのです。
ここで、電子署名に用いる電子証明書としては、当然として代理人行政書士の電子証明書となるわけです。
すなわち、ビジネス認証サービスタイプ1-Gである行政書士用電子証明書のことを意味します。
行政書士がその資格において電子署名するには、行政書士用電子証明書の利用以外に考えられないのです
電磁的記録物を作成する行政書士本人を証明するには、行政書士用電子証明書において外は無いと言えます。
「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令」の一部改正に基づく平成17年6月の法務省告示は、それら法的根拠によって公布されたものです。

まあ、上記の文書は、まともな論証になっていないのは、おそらく行政書士用電子証明書を売りたいがための、セールストークだからだろう。

公証人法と省令、告示などをつきあわせてみるとわかるが、行政書士あるいは司法書士などの業務だからといって、資格者専用の電子署名しか使えないという法的根拠や技術的根拠は、一切ないのである。(電子公証制度において電子証明書を求めることは、文書の内容とその作成名義人を確定するためである。代理権限や資格の証明というのは、電子署名によるのではなく、本人が公証人の面前に出頭する際に行う。公証人法62条の6、省令9条、10条参照。)

4 Responses to “電子公証の電子署名(行政書士用電子証明書だけ?)”

  1. houmu-jp より:

    >同規則は、「作成した書面」ではなく、「作成した書類」に職印を押すと規定しています。 
    私の先の書き込み「作成した書面」は「作成した書類」に訂正します。

    >電磁的記録については、行政書士法20条の委任による行政書士法施行規則9条2項の規定が及びません。
    .紙の書類には義務付けられているとして、電磁的書面には義務ではない。だからこそ、電子証明書での署名、特に行政書士用電子証明書での署名が「推奨」されるのはおかしくないと私は考えているのですが、この点は如何でしょうか。
    「利用以外に考えられない」という表現は、推奨・推薦を強調している発言にすぎず、強要でもなんでもありません。ここで拝見する限りは特に不適切には感じません。もっとも、年配の役員の方にはIT関係が苦手な方が多いですし、この記事に記載されきれていない部分で、不信感に感じる部分があったのかもしれませんが。


    >行政書士のために多大なシステム改修費用
    についてですが、商工会議所は元々行政書士用以外にも2タイプの電子証明書を発行しており、ここに同じ商工会議所が発行している行政書士用を追加したところで、設備的な面で多大なコストがかかることはありません。もっとも、扱いの種類が1種類増えることで、それぞれの証明書の証明される内容の違いを、受付者は把握する必要があり、この点での人的コストを要することは否定できません。(蛇足ですが、当初行政書士会は独自でサーバを立ち上げていましたが、費用があまりにも多大になるということで中止し、総務省の推薦もあって、商工会議所への委託を決めたと聞いています。)

    行政書士用電子証明書が資格業の証明書としての意義を発揮している例として、同証明書による住民票の職務上請求があります(福井市他、福井県下のいくつかの市町村で可能)。もっとも、現状では他の電子申請でもよくあることですが、手数料の支払いや返送用封筒などの課題があり、紙で申請した場合に比べてのメリットがない状態です。

    >税理士がe-Taxを使うときや
    については、国税に関していえば、そのまま税理士の監督官庁でもあり、電話番号その他の連絡先もすべて把握していることから、確認が容易であることが大きいと思います。税理士からの問い合わせであることを確認するために、(こちらから連絡先を伝えることなく、税務署で調べて)かけなおしてくることもあります。また、税務申告・調査に係る作業効率化のため電子申告を推進したい国税庁の思惑もあるでしょう。


    なお、公的個人認証は官公庁への申請及び民間事業者の発行する電子証明書の取得にしか利用できませんから、民民間での利用を考えた場合には、結局他の電子証明書を準備しなければなりません。

    • 結局のところは、行政書士会が法令の根拠がないのに、ことあるごとに会員に対して、行政書士用電子署名しか「使えない」、ほかに「考えられない」などと説明しているところに、問題があると思うのです。そこまでして会員にG-1証明書を使わせたいんだったら、司法書士のように、規則を整備すべきだと思います。(まあ、そうしたところで、G-1で署名されたデータを受け取っても、その有効性を検証できる者(役所・民間団体)は限られているという問題は残りますので、制度で強制してもどの程度実効性があるのかは、いくぶん疑問が残ります。)

      ところで、「公的個人認証は官公庁への申請及び民間事業者の発行する電子証明書の取得にしか利用できません」と書き込みされていますが、法的にも技術的にも、そうとはいえません。

      公的個人認証の電子書名の有効性の検証は、民間認証事業者においても可能なようにJPKIのシステムが設計されています。また、現行の法令でも、署名検証者として民間CAが登録されることを認めております(公的個人認証法17条参照)。そういう使い方が実際されているかは別にして、民間同士で電磁的記録をやりとりする場合にも、公的個人認証を使うことは、制度設計の段階から折込済みで、民間が「民間事業者の発行する電子証明書の取得にしか」使用できないような法の縛りはありません。

      おそらく「民間事業者の発行する電子証明書の取得にしか」利用できないという解釈は、法21条の読み込みが間違っていることから起こる誤解ではないでしょうか。(そういえば、制度開始前に、そのような間違いをアナウンスしていた県がいくつかありました。)

      失効(いわゆるRevoke)に関する情報は、認証業務情報であっても利用・提供の制限から外されています。換言すると、氏名や住所の公証手段として公的個人認証を使う場合は(たとえば提供された住所氏名をJPKIを使って確認することなど)、利用方法に事実上の制限があるといえるのですが、「電子署名」として使うのであれば、誰でも使えるといってよいと思います。つまり、一般的な民間同士の法律行為に用いる場合、住民票の代わりにJPKIを参照するのは無理としても、電子署名の検証として使う場合であれば、これで十分足りるということです。

      また、技術的な話題になりますが、認証された署名検証者と接続できなくても(つまり、当該署名がRevokeされているか不明であっても)、公開鍵を使った電子署名自体の「完全性」は誰でもチェックできるわけですので、文書が改竄されていないことを確認するレベルの使用法であれば、現時点のシステムにおいても、公的個人認証は、民間認証事業者を介さずとも、誰との間でも自由・有効に使えるといえます。また、都道府県知事の自己署名が住基カードに格納されていて、エクスポート可能ですので、電磁的記録に添付された個人の証明書が真正かどうかをオフラインでも検証することができます。(もっとも、これらのことは、「JPKI利用者ソフト」単体ではできません。他のアプリケーションが必要です。)

      (たとえば、すでに面識のある人物や他の方法で実在の確認がなされた人物から提供を受けた電子署名の確認においては、このレベルの検証で十分です。事実、登記申請書に添付しない場合でも、コーポレートドキュメントの署名に公的個人認証を使っている事例はあります。)

      もっとも、民民での使い方というのは、官業が商用CAの商売を邪魔することになりかねませんし、IT業界も自分の首を縛ることにもなりかねませんから、そういう使い方は積極的にすすめていないのだとおもいます。でも、今後この状況がかわるかもしれません。というのは、電子レセプトのオンライン義務化(平成23年度予定)で、医業向けPKI(HPKI)の問題に対して、特に小規模な個人医院の電子署名のコストをなんとか安くしたいという医師会のインセンティヴがあるからです。そこで厚生労働省が当面の解決として目をつけたのが「公的個人認証」ですが、そうすると、そこに関与する業者や団体が、当該署名のチェックをする需要が今以上に大きくなります。

  2. houmu-jp より:

    >行政書士がその資格において電子署名するには、行政書士用電子証明書の利用以外に考えられないのです。
    行政書士用電子証明書を推奨してはいますが、利用できないとは書いてませんね。
    行政書士法施行規則では、作成した書面に対して職印の押印を義務付けている趣旨からも、この職印に変わるものとして、行政書士用電子証明書の利用を推奨することは、別におかしくはないと思います。(公的個人認証は、どちらかといえば個人の実印に相当しますよね)

    • 法令用語の原則では、特段の定めがないかぎり「書類」には、電磁的記録は含まれません(例として、会社法70条2項)。例えば、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十六年十二月一日法律第百四十九号)の次の規定がわかりやすい例です。

      (定義)
      第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
      ・・・
      三  書面 書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。
      四  電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
      ・・・

      したがって、電磁的記録については、行政書士法20条の委任による行政書士法施行規則9条2項の規定が及びません。(なお同規則は、「作成した書面」ではなく、「作成した書類」に職印を押すと規定しています。法令の起案では、書面と書類の用語は使い分けられています。) 

      第九条  行政書士は、法令又は依頼の趣旨に反する書類を作成してはならない。
      2  行政書士は、作成した書類に記名して職印を押さなければならない。

      ちなみに、司法書士法施行規則28条は、1項で書面についての職印の押印、同条2項では、電磁的記録について「連合会が発行する当該電子署名に係る電子証明書により」電子署名する旨規定をおいています。しかし、行政書士法施行規則では、同様の規定がありません。

      それなのに、「行政書士がその資格において電子署名するには、行政書士用電子証明書の利用以外に考えられない」と言い切ってしまう、行政書士会の姿勢には、非常に疑問を考えます(行政書士会は、ちゃんと法律わかってるのかという、素朴な疑問さえ生じる。)。

      すくなくとも、どのような電子証明書を要求するかは、申請システムを運用する行政庁が法令に従って決めることで(当然、国のガイドラインの範囲ですが)、行政書士会が「作成した書面に対して職印の押印を義務付けている趣旨から」という一方的な解釈を根拠を持ち出したところで、そもそも電子証明書の選択について法的根拠を有しない行政書士会が、それを会員に求めたり、あるいは義務づける権限にはなりえません。このことは、会員の業務だけでなく、行政庁の事務に対しても不当な干渉にさえなりえます。

      例えば、税理士がe-Taxを使うときや、弁理士が特許庁のインターネット出願をするときに、各行政庁は、それぞれの専門職に、専門職専用の電子証明書を要求したりしません。多くの人が、公的個人認証を使っています。(ちなみに、行政書士が知材の登録を代理する場合にも、特許庁は公的個人認証でかまわないとしています。)それなのに、行政書士会が「行政書士用電子証明書だけ使え」とか言い出したら、電子申請を受け付ける行政庁は、行政書士のために多大なシステム改修費用を強いられるか、そうしないのであれば、行政書士は事実上、当該電子申請から閉め出されることにもなりかねません。「行政書士用電子証明書の利用以外に考えられない」と言い切ってしまうことは、行政書士にとってデメリットが多いということを、行政書士会は認識していないのでしょう。

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